FIFA大会という名の青春(前編)

FIFA大会という言葉だけでどんな大会かを想像できるのはほんの一握りだろう。


まずはFIFA。これはサッカーゲームソフトの名称だ。

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ただ単にサッカーをするゲーム。この「FIFA」を使って大会をするのだ。


大会は決して1人ではできない。そう、このFIFA大会は大人数でやるのだ。その人数、6人。


ゲームだから、もちろん学校ではやらない。筆者の家に集まってやる。ひとり暮らしの筆者の狭い狭い家に5人がゾロゾロやってきてギュウギュウになりながらサッカーゲームをやり続けるのがこのFIFA大会なのだ。


このFIFA大会は約1年の歴史がある。今日で7回目になる。つまり7回も筆者の家に5人が襲来したことになる。1年をかけて。


まずは操作するチームを選び、順位表を作成し、1人ずつ出番になったらプレイをする。この流れを30試合するのだ。1試合大体10分の時間が掛かる。午後1時に始まっても大会が終わるのは日を跨ぐかどうかの時間だ。



しかしこの大会、めちゃくちゃ盛り上がる。1年も続けられる魅力があるのだ。


なぜなら、この大会は「賞金制度」があるからだ。

順位の上位3人には下位3人から賞金が与えられる仕組みになっている。つまりサッカーに勝てばお金を稼ぐことができ、負けたらポケットマネーからお金を払わなくてはいけない。


お金をかける遊びほど盛り上がる遊びはない。


ゴールした瞬間、逆転した瞬間、順位がアップした瞬間など所々で誰かが雄叫びをあげる瞬間が存在する。自分がプレイをしなくても他の試合の結果次第で順位が変動するため、試合によって応援する友人が変わってくる。自分の敵をみんなが応援している時は非常にやりづらい。お金が絡んでくるからだ。


周りから見れば単なるサッカーゲームだが当事者6人、しかも間も無く卒業を迎える財布事情が苦しい6人にとってはまさに生きるか死ぬかの戦いなのだ。



そんな大きな大会の開催が今日をもって最後となった。理由は筆者が引っ越しをするからだ。単にゲームをやる場所が無い。様々な理由で新居に入る日は3月末となるためその間で開催することは極めて難しく、各々新生活に向けた準備に忙殺される。

そんな状況のため今回が最後の大会となった。


最後の大会と呼ぶにふさわしいような熱く、しかしどこか寂しさもある大会となっていった。


続く